こんにちは!薬剤師の佐藤です。
これから寒い季節になりますので、冷え対策の注意点をお話ししたいと思います。
寒い季節になると温かい飲み物が飲みたくなると思います。一時的には体は温まりますが、何十キロもある体に熱を取られますので、飲んだ飲み物は体温と同じ温度まですぐに下がります。飲みすぎると体に残った水が、逆に冷える原因になりますので注意して下さい。それは何故か解説します。
過剰に水(熱い飲み物でも同じです)を飲みすぎると、もちろん体に水が溜まります。夏であれば汗をかく余力になりますので問題になることは少ないですし、春や秋でもまだ寒くないので水は汗腺から水蒸気となって気化・排熱していきます。しかし、寒い時期は外気に触れている皮膚の表面の温度が下がっていますので、水の気化・排熱がしにくくなっています。そうなると溜まった水は減りませんし、体の中の熱を排熱することができなくなります。
ここでよく間違えるのは、体の手や足などの表面の温度は下がると簡単に冷えますが、体の中の深部体温は常に冷えることなく一定です。冷えたら命が危ないです。恒温動物はみな一緒で、外気温より高い体温を一定に保つために、常に熱を作り続ける必要があります。外気へ熱が放熱されることを前提に熱を作っていますので、皮膚から排熱できないことになると体の中に熱がこもってしまいます。それでは困るので、体は尿として熱を出そうとします。
プールに長く入っていると、トレイが近くなります。プールの水で体の表面が冷えて排熱できなくなるので、尿として体の深部にこもった熱を出そうとしているのです。そうなると体の表面に熱は行かず、冷えたままになってしまいます。
あれ?熱が溜まって尿を作るのに体は冷えるの?と、私自身も言っていて混乱しそうです。寒い時期に体全体が冷えないようにするためには、体の表面を冷やさないようにするのはもちろんのことですが、適切な水分量で体に水が溜まらないようにし、体の中から外気へ熱が流れる(排熱)ことによって全身が温かくなるようにしなければならないということです。水を摂りすぎると緊急避難的に尿から熱が排熱されてしまうため、体の隅々まで熱が行かなくなるのです。脱水症の時にもお話ししましたが、トイレが近くなるような水の飲み方はよくありません。温かい飲み物だとしても熱が体にうつれば常温の水と同じです。水が多すぎて冷えの原因になるので注意しましょう。