

昔からよく噛んで食べなさい!と言われていることはご存じだと思います。ちゃんと噛まないといけない!と思いながら、ついつい早食いをしてしまう、そういう経験をされた方は多いと思います。近年の研究で、よく噛んで食べることの効果が研究結果として出てきていますのでご紹介します。
平成26年に東京工業大学大学院社会理工学の林教授の研究結果によると、300kcalのブロック状の食べ物を急いで食べた場合と、できるだけ噛んでゆっくり食べた場合で、エネルギー消費量に差があることが分かりました。
具体的には急いだ場合が103秒、137回咀嚼、ゆっくりの場合が497秒、702回です。
食後90分間のエネルギー消費量は、急いだ場合は体重1kg当たり7cal、ゆっくりの場合は体重1kg当たり180calと有意に高い値になりました。
これは、体重60kgの人がこの食事を1日3回食べると仮定すると、1年間に11,000kcalの差になり、脂肪に換算すると約1.5kgの差になります。つまり、今と同じ食事内容であると仮定すると、ゆっくり、よく噛んで食べることを1年間継続したら1.5kg痩せることになります。
よく噛んで、ゆっくり食べるだけ!
言うのは簡単ですが、やってみるとなかなかにハードルが高いです。一般的にひとくちの咀嚼回数は30回が良いとされていますが、現代人は柔らかい食べ物が多く、食べる時間をゆっくり取れないこともあり、半分の15回程度で飲み込んでしまいます。また、食事が柔らかく、食べやすくなることと文明の発達には相関があり、80年前までは一食当たりで1400回あったのが、620回まで落ちているそうです。鎌倉時代では2600回、弥生時代では4000回もあったそうです。歴史的に見ても噛む回数が減ること自体は悪ではないと思いますが、80年程度で一気に半分以下になったことが問題となっているようです。急激な変化に人が対応できていないのでしょう。人が今の食事に適応するまで努力して噛むことが最善手であると考えます。
私もひとくち30回噛む努力をしていますが、なかなか噛めません。理由は食べ物が30回噛むまで持たないからです。家庭料理なら大丈夫なのですが、パン、ラーメン、ファーストフード等は噛みごたえがなく、30回噛むのは相当辛いです。30回噛む習慣をつけるには、30回噛める食事にしないと難しいと感じます。
難しいのは分かっていますが習慣化する価値は非常に高いです。