こんにちは、ふたば調剤薬局の中山です。
今回、私たちは久光製薬から発売された「アポハイドローション20%」という薬についての勉強会に参加してきました。この薬は原発性手掌多汗症、つまり手汗がひどい患者様に向けた薬です。
多汗症治療薬
これまでも多汗症の方向けにエクロックゲル、ラピフォートワイプといった外用剤が発売されていましたが、いずれも原発性腋窩多汗症(脇汗)の患者様向けの薬でした。なので、このアポハイドローションは手汗に適応がある初めての薬となります。
手汗の治療には塩化アルミニウム外用治療、イオントフォレーシスが主に用いられてきましたが、薬を塗った後ラップなどで保護しなければならない煩雑さ、何度も通院しなければならないなどの欠点がありました。それに対して、アポハイドローションは手の平に出して塗り広げるだけで済むという手軽さからこれまでの治療より手軽に行うことができる点が大きなメリットと言えます。
抗コリン薬の効果と副作用
現状発売されている多汗症の外用剤はいずれも抗コリン薬という分類の薬で、効果としては汗を分泌する神経の伝達を阻害することで汗を止めるというものです。
局所に使用する外用剤ということで内服の抗コリン薬と比べて全身性の副作用は少ないとされていますが、塗布部位に傷がある場合や粘膜に付着してしまう事で、便秘(ひどい場合は腸閉塞、イレウスなど)や尿閉、散瞳(瞳孔が開いて眩しくなる)などが起こる可能性は示唆されています。
発売前の臨床試験でこれらの副作用は確認されていませんが、使用される場合にはこうした副作用を避けるためにも使用方法をしっかりと理解して使用する事が重要です。
使用方法(アポハイドローション)
今回のアポハイドローションの使用方法ですが、手の平の大きさ、塗り広げた後のべたつき具合によって寝る前に5プッシュ程度手の平に塗り広げ、翌朝に手洗い薬を取り除く必要があります。ここで翌朝手を洗わずに顔などを洗ってしまうと、薬が目に付着して副作用が出てしまう可能性があります。また、薬自体は2時間ほどで吸収され効果を発揮しますが、8時間以上塗った状態にしてしまうのも副作用のリスクになるため、手を洗うタイミングも意識する必要があります。
最後に
臨床試験ではアポハイドローション使用群(144人)とプラセボ群(140人)の手汗の改善状況を4週間にわたって比較し、それぞれ52.8%と24.3%の方に手汗の改善がみられました。結果としてはアポハイドローションを使用した方が手汗の改善率はよかったと言えます。その後一部の患者様には1年の追加調査を行い、最終的には7割ほどの方が改善したそうです。しっかりと効果がある薬ですので、問題なく治療が進められるよう、注意点も踏まえながら正しい使用方法を薬剤師が説明させていただきます。
今回の薬について興味がある場合や手汗の治療についてお困りの時には、医師や薬剤師へ気軽に相談してみてください。