まだまだ寒さも厳しいですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。こんな時期は暖かいココアなんかを飲みたくなる方も多いことでしょう。それと、2月といえばバレンタインデーがありますね。皆様も学生時代などに一喜一憂した方も多いのではないでしょうか。そんな訳で、今月の薬局通信のテーマはチョコレートやココアの原料、カカオについてです。


カカオの有効成分
実はカカオには私たちの健康増進に役立つ成分がいくつか含まれています。それらの成分により、様々な健康効果が期待されています。
・カカオポリフェノール
抗酸化物質の代表例であるポリフェノールは、カカオ以外にもブドウやリンゴ、緑茶などに豊富に含まれますが、カカオはそれらより多くのポリフェノールを含んでいます。そのため、効率よくポリフェノールを摂取できる食材として注目されつつあります。
ここで抗酸化作用について少し補足です。抗酸化作用とは、体内にできた活性酸素から身を守るための働きです。以前の薬局通信でも紹介した通り、活性酸素自体は様々な化学反応を助ける重要な物質ではあるのですが、多すぎると細胞障害に伴う老化促進や、コレステロールを酸化させることで血管壁を硬くしてしまう動脈硬化などを引き起こすとされています。つまり、老化予防、美肌効果、動脈硬化の予防、他にもアレルギーの軽減などが期待できます。
また、カカオポリフェノールには抗酸化作用以外にも、血管拡張作用による血圧の低下、脳の活性化による集中力アップなどの作用もある可能性が示されています。
・カカオプロテイン
カカオのプロテイン(タンパク質)は、人間の消化管では消化されづらく、小腸で吸収されずに大腸に到達し、便のかさ増しによる便通改善や、腸内細菌の餌となることで腸内環境を改善する整腸作用が期待されています。これは食物繊維と同様の働きです。
カカオと生活習慣病


ここまでカカオのいいところばかり紹介してきましたが、甘いチョコレートやココアには砂糖がたくさん入っていて、健康にとても悪そうに思えます。また、チョコレートやココアの原料にはカカオ豆の胚乳(種が発芽するのに必要な栄養を溜めた部分)をすり潰したカカオマスが使われています。種が育つための栄養なので、それなりに糖質も含まれているのですが、カカオは食べた後の血糖上昇が緩やかな「低GI食品」のひとつとしても知られています。低GI食品は、多くの食品のように急激に血糖値を上げることがないため、血管への負担が少なく、糖尿病や動脈硬化のリスクを減らせるのではないかと期待されています。
ただ、やはり基本的にチョコレートは甘いもの。たくさん食べてしまうと結局砂糖の摂りすぎになってしまい、糖尿病などの生活習慣病の大きなリスク因子になってしまいます。そこで、近年は普通のチョコレートよりカカオが多く、糖質を少なくしたハイカカオチョコレート(カカオ70%以上)が出回るようになってきました。糖質が気になる方はこういったチョコレートを上手に摂取するといいでしょう。ただし、糖質が少ないとはいえ、全く入っていない訳ではないため、食べ過ぎると糖質が過剰になってしまいます。また、糖質が少ない分苦みが強くなっていますので、ご注意ください。