今回は、分かってもらえるかどうかわかりませんが、社長として会社を率いる上での葛藤についてお話し出来たらと思います。
まずはじめに、基本的には会社を率いるに当たってどんな社長にも、ほぼ間違いなく理想や理念というものがなければなりません。
そして自分の中で持っているその理想や理念を自分が貫き通すことは、難しそうに見えて実は大して難しくはありません。
もちろん思い通りに行かなかったり挫折してしまったりした時に、自分の理念から目を背けてしまいたくなる時もあるかもしれませんが、それはあくまでも自分の問題なので自分の軸さえブレなければ自分で解決出来ることだからです。
では、問題は何なのかというと、それは自分の理念と会社としての理念が乖離してしまう時です。
そしてそれは会社が成長している時に起こります。
会社を成長させるためには必ず自分以外の人間に自分の仕事を任せなければなりません。
自分一人の時間や資源には限りがあるからです。
まず前提として、社長には理念というものを持っているというのは先ほども言った通りです。
自分が何かを成し遂げたくて一念発起して起業をしたのですから、それは当然ですしそうでなくてはなりません。
ただし、会社を拡大していく過程でその理想を自分以外の誰かに正確に伝えて、自分と全く同じ理想での立ち振る舞いをして欲しいと願っても、そもそもまずその社長の理念というものが100%伝わり理解してもらえるわけではありません。
また、仮に100%伝わったとしても、その理念自体に100%共感してくれるかどうかも分かりません。
そう考えると自分と全く同じ理念を持った人はまず間違いなくいないということになります。
それでも規模の拡大のためには、その理念を100%理解してくれているわけでは無い人にも自分の仕事を任せていかなければならないという状況が発生し、すなわちその過程で全てが自分の理想通りではないという状況にある程度目を瞑らなければならないのです。
そんな折、自分の理念や行動原理ではあり得ない行動を(無意識であれ意図的であれ)した部下が、取引先や外部から怒られているのを目の当たりにする時に、やはり理念を100%伝え切る事の出来ない自分の力不足を実感して葛藤することになります。
もちろん自分が常に100%正しいと思い上がっているというつもりでは毛頭ありません。
むしろ自分より頭が切れ、勉強家で、努力家のベテランや、自分の知らない新しい知識をたくさん持っている若い力が周りにたくさんあるのは深く理解しています。
だからこそ会社の理念から外れた部分で悪い印象を与えてしまうことが勿体無いと感じてしまうのです。
会社の理念に則った上で相手に悪い印象を与えたのならその責任の所在は全て社長にあります。
でも会社の理念=社長の理念から外れてしまっていては庇ってあげたいのに庇ってあげられなくなる事も出てきてしまうでしょう。
会社の理念を理解することは自分の身を守る事につながるのだという事を意識してもらえたらと切に思います。
その上で私は、私個人の理念のアップデートをする事も含めて、私自身の理念と会社としての理念を出来る限り100%一致させていく努力を続けていこうと思います。