秋のテーマとして水虫を取り上げました。
水虫はじめじめする梅雨時から夏にかけて悪化するので、一般的には夏の病気だと思います。
患者さんも圧倒的に蒸し暑い時期が多いです。秋~冬になり、気温が下がり、空気が乾燥してくると水虫は軽快します。冬は無症状になることも多いです。それにつれて患者さんも減っていきます。
しかし、治ったわけではなく、菌の活動が鈍って症状が出なくなっただけですので、継続した治療が非常に大切です。
他の疾患でも一緒ですが、基本的に症状がないと治りにくいです。本人があまり気にしなかったり、そもそも病気ではないと思ってしまうからです。その代表格が水虫で、推定5人に1人は水虫ではないか?と言われているほどです。そんなにいるの?と思ったかもしれませんが、水虫は実際にうつっても痒み等の症状が出る人の方が少ないです。20人に1人程度とも言われています。
近年の建物は、気密性が高く、床暖房等、暖房の性能が良いので、冬でも暖かいです。靴も革靴、女性だとブーツが多くなり、冬でも足が蒸れる環境があります。以前と違い、今は冬でも水虫になりますので注意が必要です。日本でかなり広がっている水虫はどこにでもいるので、大衆浴場など人の多いところだけでなく、靴を脱ぐ場所であればどこでも感染する可能性があります。
例えば、座敷に上がって食べる和食などです。もちろん裸足になるところよりは危険性は少ないですが、うつるところに行ってないから大丈夫だと思っていると、え?冬になんで水虫に?どこで?ってことになります。
主な原因の白癬菌は皮膚についても24時間以上経過しないと肌の角質層にはいることができません。
非常に感染力は弱いです。毎日お風呂で足を手洗いすれば十分で、石鹸でゴシゴシ擦る必要はありません。擦りすぎると皮膚が傷つくので逆効果になることもあります。さらに、普段皮膚にいる常在菌がしっかり繁殖できていれば、白癬菌が付着しても入り込む場所がありませんので、なかなか感染しません。常在菌も場所を取られたくないので必死に守ってくれます。しかし、傷があったり、皮膚が弱っている状態であったり、湿気の強い場所で密着している場合では、もっと早い時間で侵入されると言われています。一度角質層の中に入られてしまうと、新陳代謝により皮膚が剥がれるのよりも早く増殖するので、自然治癒は不可能と言われています。
涼しくなる秋からは、うつっても症状が出ないことがさらに多くなります。いつの間にか感染することを防ぐ、さらには他人にうつさないように十分注意が必要だと思います。外で靴を脱いだ時点で白癬菌がついたと思っておいて損はありません。