辛い花粉症の時期が近づいてきました。毎年憂鬱な方も多いと思います。今回は花粉症の薬についてです。
花粉症の薬は、医療用医薬品だった薬が処方箋なしで買えるスイッチOTCと呼ばれる市販薬が増えてきました。以前は医療用として使われてきたので効果に疑いようはなく、品質も確かな薬であることは保証します。しかし、だからと言って薬剤師としておすすめかというと話が違ってきます。
医療の世界は日進月歩です。少しずつですが常に進化しています。花粉症の薬も例外ではありません。現在医療用で使われている花粉症の薬は、大きな弱点であった眠気はほぼ克服されていて、効果も従前の薬と遜色ありません。花粉症に限らずどんな治療薬でも、副作用を減らして効果を維持(増強)するのは、かなり大変なことです。なぜなら副作用とは、読んで字の如く、主作用の副次的に発生する作用だからです。副作用を弱めようとすると一緒に主作用も弱める結果となることがほとんどです。
しかし、先ほども言いましたように医療は日進月歩です。改良に改良を重ね、10年前には全くなかった新しい薬がたくさんあり、治療の選択肢が増えました。10年というのは一般的に新しい薬が発売されてから特許が切れ、ジェネリック医薬品が発売されるまでの期間です。つまり、最短でも市販の薬は10年前の薬のラインナップということになります。市販の薬でも眠気が出ない薬はありますが、まだ効果の点が改善されていない時代の薬ですので、眠気を我慢するか、効果を我慢するかということになりがちです。軽症の方はそれでも良いと思いますが、毎年花粉症でお困りの方は、時間をかけてでも受診し医療用の花粉症治療薬を使う価値は高いでしょう。
医療用医薬品は医師の考え方や個人の症状で使う薬が変わりますので、個別の名称は避けますが、内服薬で言うと1日1回で眠気もなく、効果も良い薬があります。重症例には内服のステロイド薬が使えます。点鼻も同様に1日1回で効果も良い薬があります。点鼻は眠気が出ないことと内服薬との併用でかなりの効果が出ますのでお勧めです。目薬は即効性があり、効果の良い薬があります。コンタクトでも使用できる目薬もあります。また、減感作療法で根治治療が目指せるようにもなっています。
その他に、花粉症の時期は、薬で眠いのは仕方ない!我慢する!と思う方もいらっしゃると思いますが、近年では眠気以外にも集中力や注意力が低下することが問題視されています。これらの症状は眠気と違い、無自覚の場合があります。特にお仕事で車の運転・機械類の操作をされる方は、事故の危険が高くなりますので、そもそも眠気のある薬を飲まないようにする必要があります。また、学業にも影響しますので、学生のみなさんにとっても無視できません。特に市販の薬で効果の高い薬は、第一世代の抗ヒスタミン薬が使われていることが多く、眠気が非常に強い薬になります。もちろん、集中力・注力が低下する作用も強いです。私は眠気が出ない体質だから大丈夫!と油断していると、知らず知らずのうちに悪影響が出ている可能性がありますので注意しましょう。