LDLコレステロールに詳しく解説していきたいと思います。脂質異常症かどうかを測定する重要な数値です。健康診断でも必ず出てきますので、ご存じの方も多いと思います。
LDLコレステロールとは?
肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を担っており、増えすぎると動脈硬化を起こして心筋梗塞や脳梗塞を発症させるため、悪玉コレステロールと呼ばれます。
LDLコレステロールの正常範囲は140mg/dl未満です。140mg/dl以上の場合は高LDLコレステロール血症になります。
ここまでが一般的な説明だと思います。しかし、LDLは決して悪者ではありません。コレステロールは体や細胞を維持するために不可欠の成分です。それを全身に運ぶ役割を担っている非常に重要なコレステロールなのです。
問題は「増えすぎる」ことです。
建築の例えで説明します。
食事は建築資材の原料です。
コレステロールは建築資材です。
肝臓は資材の生産・廃棄工場です。
LDLは資材を詰めるためのコンテナ兼現場まで運ぶトラックです。
HDLは廃材を回収するためのコンテナ兼工場まで運ぶトラックです。
体や血管は建物です。
食事を原料に肝臓でコレステロールを作り、コレステロールを詰めたLDLが全身に運び、体や血管はコレステロールを使って維持します。HDLは体や血管がいらなくなったコレステロールを回収し、肝臓に運び、肝臓はいらなくなったコレステロールを分解します。
これが一般のサイクルです。誰も悪くありませんし、体を維持するためには、どれが欠けても問題になることは明らかだと思います。
なぜLDLは増えすぎるのか?なぜLDLが増えすぎると問題なのか?
一番多い原因はお分かりだと思います。食事=原料が過剰だからです。肝臓は頑張って不可欠な脂質であるコレステロールを作ります。しかし、原料が多すぎて作りすぎるとコレステロールで溢れてしまいます。肝臓は余ったコレステロールを分解することもできるのですが限界があります。溢れすぎるとコレステロールが邪魔で肝臓が働けなくなるので、LDLをたくさん作り余ったコレステロールを全身に置いてこようとします。
つまり、LDLが増えすぎるということは、コレステロールの置き場に困った肝臓を守るためにLDLが全身にコレステロールを置きに行っているわけです。もし、この状態になってもLDLが増えていないとしたら早くから肝臓は悲鳴をあげ、脂肪肝→肝硬変になり、寿命は大幅に縮むことになるでしょう。LDLは決して血管を詰まらせるために働いているわけではない、悪者ではないことをご理解いただけると思います。
しかし、LDLが頑張ってもこの状況の長くは維持できません。溢れたコレステロールは全身にも置き場に困ってきます。そのうちに全身に置ききれなくなったコレステロールが血管にまで溢れてきます。血液には酸素が豊富にありますので、酸素とコレステロールがくっついて酸化します。酸化≒老化です。これが血管の老化≒動脈硬化の原因になるのです。
余談になりますが、逆に全身からコレステロールを回収するHDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれます。しかし、この状況では肝臓にはコレステロールを分解する余裕がありませんので、肝臓を守るためにHDLを減らし全身にコレステロールを置いたままにしようとします。ですから、生活習慣による一般的な脂質異常症はLDLが高く、HDLが低くなることが多いです。