夏になれば暑い、冬になれば寒いと感じ、春や秋は快適だと感じます。体は何もってそう判断しているのかご存知でしょうか?温度感覚のメカニズムについて解説したいと思います。
体は30℃だから暑い、0℃だから寒いと判断しているわけではありません。ここにも体の恒常性が関係しています。30℃は暑いと決めてしまうと、35℃の環境になってしまった場合、毎日が暑すぎることになってしまいます。今の地球で言えば、赤道直下の国の人たちは30℃で暑い、暑いと苦しんでいません。体が適応し、30℃を前提にしているからです。寒さでも同じです。最近は見ませんが、私が子供頃は年中半袖・半ズボンの子がいました。風邪も引かず元気でした。あの子はきっと真冬の5℃は暖かいと感じたはずです。
外気温は環境の変化で変わりますので、体はあらゆる環境に適応するために体温と外気温の差の上下で判断しているのです。
人間の体温は36.5℃~37℃前後で安定していますので、外気温が体温に近づけば暑いと判断するし、遠ざかれば寒いと判断します。日本人だと、ずっと20℃のところにいた場合、25℃の場所に入れば暖かいと思うでしょうし、ずっと30℃のところにいた場合、25℃の場所に入れば涼しいと思うでしょう。しかし、しばらく経つとその感覚が無くなり、25℃でも暖かくない、涼しくないと感じるようになる人が多いはずです。
体温と同じ36~7℃だと猛暑です。熱中症で亡くなる方が続出するでしょう。体温を維持するために体では常に熱が生産されており、外気温との温度差を利用してオーバーヒートしないように熱を放出することが前提だからです。温度差がないと自然に体から熱を放出することができず、汗をかくことで熱を放出することになります。湿度も影響しますが、温度差がだいたい10℃~15℃くらいある時、外気温が20℃~25℃くらいで快適だと感じる日本人が多いと思います。沖縄や北海道の方は、平均気温が全然違いますので感じ方が違うはずです。
風邪を引いて熱が出ると寒気がするのは何故か?体温が上がることによって、外気温との差が遠ざかっていくからです。では、逆に体温が下がった場合は?そうです。外気温との差が近づきますので暑いと感じます。冬に雪遊びをしていて、冷たいはずの手が熱いと感じた経験ありませんか?手の温度が下がってきたので、手が熱いと感じるのです。雪山で遭難し、凍死してしまった登山者が、裸の状態で発見されることがあります。どんどん体温が下がるので体が熱いと感じ服を脱いでしまうそうです。
人間は恒温動物なので体温が変化することは少ないですが、体温が変化する時は、外気温が変化する時と逆に感じることを覚えておいて損はないと思います。