夜間に1回以上、排尿のために起きなければならない症状を「夜間頻尿」といいます。日本には約4,500万人もいるといわれ、高齢になるほど増加します。
私が薬剤師として普段、患者さんと話していると、夜間頻尿と高血圧には正の相関があることは意外と知られていないと感じます。高血圧の人は夜間頻尿になりやすいですし、夜間頻尿の人は高血圧の可能性が高いです。
少し逸れますが、薬から見ても関係があり、男性の頻尿治療に使われている薬は、もともと血圧の薬から開発されているものもあります。
尿を飲んだことある人は非常に少ないと思いますが、尿がしょっぱいことは誰でも知っていると思います。なぜ、しょっぱいのか?というと、尿と一緒に体の余分な塩分を排泄しているからです。では、高血圧の1番の原因で思いつくのは何でしょうか?塩分の摂りすぎと答える人が非常に多いと思います。つまり、塩分を摂り過ぎれば、余分な塩分を排泄するために、たくさんの尿を生成する必要があるということです。これが、夜間頻尿と高血圧に正の相関がある理由です。
ところで、高血圧ではない人が、塩分を摂り過ぎた場合は、どうなるのでしょうか?
もちろん頻尿になります。高血圧かどうかではなく、塩分を摂り過ぎれば排泄する必要があることは変わらないからです。
みなさんも経験があると思いますが、寿司や焼き肉を食べに行ったりすると、夜中トイレに起きたりします。塩分を摂り過ぎているからです。
寝る前の余分な水分摂取が夜間頻尿の原因になると言われますが、塩分の摂り過ぎでのどが渇くので、水が飲みたくなっている場合もあります。その時は、飲まないほうが体の負担は大きくなります。もし、寝る前にのどが渇いているのであれば、その夜に食べた食事を思い出してみると、塩分過多になっているかもしれません。