12月に入り、いよいよ寒さも厳しくなってきました。また、年末に向けて忙しくなっている方も多いかと思います。今年は10月からインフルエンザが流行っているため、しっかり予防しましょう。さて、今回の記事はインフルエンザに関連して、ウイルスについてお伝えしていきます。
ウイルスとは?
ウイルスというと、感染症の原因として今最も耳にするのはインフルエンザウイルスと新型コロナウイルスだと思います。他にもライノウイルスやアデノウイルス(風邪=急性上気道炎)やHIV=ヒト免疫不全ウイルス(AIDS=後天性免疫不全症候群)、エボラウイルス(エボラ出血熱)、狂犬病ウイルス(狂犬病)、ノロウイルス(食中毒)などがよく知られています。
感染症の原因として、ウイルス以外にも細菌や寄生虫などがありますが、それらとウイルスの決定的な違いは、ウイルスがそもそも生物として認められていないということです。生物には三大定義というものがあり、
- ①自己増殖能力
- ②エネルギー変換能力
- ③自己と外界との明確な隔離
のことを指します。ウイルスはこのうち①と②を自力で行うことができないため、生物の定義から外れるとされています。そんなウイルスが増殖するための戦略が「感染」なのですが、詳しくは次回の記事でお伝えしようと思います。
ウイルス感染症を予防するには?
ウイルスに限った話ではないですが、最も基本的なのは外出時や不特定多数の人が触ったものを使ったときなどは手洗い・うがいをしっかりすることです。毎回は難しいと思いますが、帰宅時の手洗いは家にウイルスなどを持ち込まないためにも「衛生的手洗い」を心がけましょう。
また、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスにはアルコール消毒も効果的です。多くのウイルスの外殻には「エンベロープ」という層があり、エンベロープがアルコールによって壊されることでウイルスは感染力を失います。ただし、ノロウイルスなどの一部ウイルスはエンベロープを持たないため、アルコール消毒の効果がありません。このようなウイルスに対しては次亜塩素酸による消毒が効果的ですが、次亜塩素酸はタンパク質が多いと不活化してしまうため、人体に用いることはできません。
今年から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が2類感染症から5類になったことでマスクをせずに外出する方が増えましたが、今年のインフルエンザの早期流行はこのノーマスクが大きく影響していると考えています。実際、マスク着用が推奨されていた昨年や一昨年はさほどインフルエンザが流行しなかったのも根拠の一つです。インフルエンザはこれからさらに流行することが予想されるため、再度マスクをしっかり着用しましょう。
また、ワクチン接種も予防としては効果的ですが、新型コロナウイルスはヒトに適応しようとして変異しやすい状態であるため、既存のワクチンで対応できなくなる可能性があります。変異を起こすと基本的には弱毒化しますが、まれに強毒化する場合もあるため、基本的な予防も大切です。インフルエンザワクチンは毎年流行予測に基づいてA型から2種、B型から1種ピックアップされて作られています。この流行予測が外れるとワクチンの効果が期待できなくなるため、ワクチン接種をしたからと過信せず、こちらも基本的な感染対策をしっかり行いましょう。