

6月と言えば梅雨入りの時期ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。雨が続くとお出かけしづらかったり、洗濯物の臭いが気になったりしますが、何とか乗り越えていきましょう。さて、雨の日は体調を崩す方が多くなります。今では「気象病」という言葉もあるくらいですので、実感されている方も多いと思います。では何故雨の日に体調を崩しやすいのかというと、それは気圧が下がることに起因します。ということで、今回の薬局通信のテーマは「気圧による体調変化について」です。
気圧とは?

「気圧」という言葉は天気予報などで馴染み深いかと思いますが、そもそも気圧とはなんなのでしょうか?
気圧とは読んで字の如く、「気体の圧力」です。広い意味ではあらゆる気体から発生する圧力と定義されますが、日本ではもっぱら空気の圧力、「大気圧」の略語として使われているため、この記事でも以降は気圧=大気圧として扱います。私たちは普段気圧を感じることはありませんが、実は常に周りの空気から圧力を受けています。これを数値にすると海抜0 mで1気圧(約1013 hPa・ヘクトパスカル)となります。この数字は皆様聞いたことがあるのではないでしょうか?1気圧を基準として、それより気圧が高ければ高気圧、低ければ低気圧と呼ばれます。ちなみに、海抜(高度)が高くなると気圧は低くなり、富士山山頂では約650 hPaとされています。

低気圧による影響

私たちの身体は普段過ごしている場所の気圧に合わせて最適化されています。骨や皮膚は頑丈なので多少の気圧差ではびくともしませんが、問題は血管です。血管は骨や皮膚と比べると伸縮性が高くなっています。普段は外からかかる気圧と釣り合うように血圧を調整していますが、低気圧になると外からの力が弱くなり、内側からの力の方が強くなることで血管が膨らみます。もちろん破裂するようなことはありませんが、膨らんだ血管は周りの組織を圧迫し、特に脳神経が圧迫されると頭痛が起こるといわれています。特に片頭痛のようなドクン、ドクン、と脈打つような痛みの頭痛はこの現象と関わりが深いとされています。
また、血管が膨らむと恒常性(ホメオスタシス)が働き、血管を縮めて元の状態に戻そうとします。そのためには血流を減らす必要がありますが、この際に身体で起こる反応が①血液量そのものを減らすことと、②自律神経を調節して血圧を下げることです。まず①は、血液の水分を血管の外に放出することで血液量を減らします。その水分は血管の外に溜まり、これによって起こるのがめまいやむくみ(浮腫)です。②は、副交感神経の働きを強くすることで心拍数を抑えて血圧を下げます。副交感神経が優位になると身体は沈静の方向にシフトするため、倦怠感が出るとされています。血流が減ると身体に行き渡る酸素も減るため、酸欠のような症状が出ることもあります。
そして、登山中に注意しなければならない高山病も気圧が下がり、酸素が少なくなることが原因とされています。

高気圧による影響
逆に気圧が高いときは身体にどのような変化が起こるのかというと、自律神経のバランスが崩れて交感神経が優位になる場合があります。交感神経は活動時に働く神経なので、動悸や発汗などが起こることは考えられますが、「調子が悪い」と認識するほどではない方が多いようです。むしろ高気圧の日は快晴になることが多いので、より活動的になったり、元気になったりする方が一定数いるとされています。実際天気がいいと気分もよくなることが多いかと思いますが、これも自律神経と恒常性に影響されているのかもしれません。
