こんにちは。ながせ薬局にしぎふ店の薬剤師兼スポーツファーマシストのFです。
現在、パリオリンピックでは日本代表の活躍に沸いておりますが、それに関連して、今回はドーピングについてお話ししたいと思います。
アンチ・ドーピングから考えるサプリメントと化粧品
- スポーツフードとサプリメントの分類
1)スポーツフードとはスポーツドリンク・ゼリー・ジェル、スポーツバー、エナジードリンクなど(水分・糖質・ナトリウム・カリウム・プロテインサプリメント・カフェイン)
2)ダイエタリーサプリメントとは食事から不足する栄養分を補うために摂取するもの(ビタミンD・鉄・カルシウム)
- スポーツ貧血(鉄剤は禁止物質ではない)
疲れて練習をしたくないときはスポーツ貧血であることが多いです。治療の基本は食事療法と薬物療法であります。薬物療法では鉄剤が中心になります。治療期間は6か月にもなりまして、スポーツ選手には大変厳しい期間になると思われます。その為、スポーツ貧血の予防対策にOTC医薬品やサプリメントを使用することになります。問題点としては、まずくて、胃腸障害も出現しやすく、便も黒くなります。ただ、栄養機能食品の中には、美味しく加工され、副作用も少なくなるよう改善されたものがありますので、そういうものを使用すればクリアすることが出来ると思われます。
- プロテインの摂り方(プロテインは禁止物質ではない)
1日体重1kgあたり2gのたんぱく質ですが、カロリーや脂質を考えると食事だけでは無理がありますので、プロテインを摂取します。さらに摂取時間はトレーニング30分~1時間前(炭水化物と一緒に)と直後30分以内と寝る前が推奨されます。
- カルシウムの摂り方(カルシウムは禁止物質ではない)
カルシウムが足らなくなると、骨からカルシウムが溶けだし、血管壁に付着して、動脈硬化が進行するカルシウムパラドックスが起きてしまう。その為、カルシウムサプリメントを摂取することになります。しかし、摂取しすぎると心血管疾患のリスクが高まると言われています。(薬やサプリメントとして1回500mg以上摂取しないこと、推奨量は150~300mg)
- 化粧品の使用について(違反例)
1)飲む発毛剤による違反例(フィナステリド)
野球(ソフトバンクの選手)
制裁内容 ソフトバンクに制裁金750万円 20日間の出場停止
2009年1月1日より、フィナステリドは使用可能!
2)口ひげの生育促進目的による違反例(メチルテストステロン)
ラグビー(神戸製鋼の選手)
制裁内容 2年間の資格停止処分
3)ニキビ治療の塗布薬による違反例(カンレノン)
バレーボール(青山学院大学の選手)
制裁内容 競技成績の失効 資格停止3か月
4)リップクリーム使用による違反例(クロステボール)
ノルディックスキー選手
制裁内容 18か月の資格停止処分
ドーピングの禁止薬であることが表示されていた!
- まとめ
食事から栄養が十分に摂れずに本来の能力が低下してしまう「スポーツ貧血」の鉄分補給などは、アンチ・ドーピングに対応したサプリメントの服用をすすめられます。
競技力向上の効果がある物質は禁止薬物として厳格に禁じられていることからすれば、使用が許されているサプリメントには競技向上力の効果がないです。
最終的にはアスリートの判断になりますが、サプリメントによるドーピング違反となる場合のデメリットとメリットを今一度比べ、必要であれば薬剤師(スポーツファーマシスト)のリテラシーを駆使してサプリメントを選択しましょう。